おはようございます!
今日は昨日チラッとお話しした「大河の一滴」という本について紹介します。
大河の一滴
本書の著者は五木寛之さんという有名な作家さんです。
私は文庫本で読みましたが、文庫本の奥付を見ると、平成11年に初版が発行された後、令和2年6月には45版が発行されていることが分かります。
20年以上に渡って多くの人に読み継がれている本ということですね。
私は何度か書店で目にしたことがありましたが、妊娠中にテレビで紹介されていたのをぼんやりと観ていて面白そうな本だなぁと思っていました。
そして死産後、何か読もうかなぁと思った時に頭に浮かんできたのがこの本でした。
本書概要
本書では、全体を通して生きていくうえでの考え方、物の捉え方等の人生観について書かれていますが、このブログでは、私が特に納得させられた
・人生は苦しみの連続である
・人はみな大河の一滴である
ということについて紹介しようと思います。
人生は苦しみの連続である
本書はまず、
「私はこれまでに二度、自殺を考えたことがある」
という書き出しから始まります。
衝撃的ですね。
著者は
人は生きて行くなかで耐えがたい苦しみや、思いがけない不幸に見舞われることがしばしばあるものだ。それは避けようがない。人生というものはおおむね苦しみの連続である、と、はっきり覚悟すべきなのだ
と言っています。
そしてそのような苦しみの連続の中で、時に人の優しさと出会ったり、思いがけない幸運に恵まれることがあり、そういったことに心から感謝することが出来るのだと。
苦しみの連続である人生の中で、そうした体験をすることが出来ることはとても素晴らしいことであり、暗闇の中に一筋の光が射すようなものであると。
これはまさにその通りですね。
流産や死産、新生児死等なんて本当に思いがけない不幸だし、そういう時だからこそ、人の優しさが心に沁みてくるというか。
私は死産してから本当に、色んな人に感謝の気持ちを抱くことが増えました。
気にして連絡くれた友人とか、温かい言葉をかけてくれた方とか、一緒に涙を流してくれた方とか、本当にありがたいなと思います。
ありがとうございますの一言では伝え切れないくらい感謝しています。
それってきっとこういうことなんですね。
本当に苦しいからこそ、人の優しさがありがたい。
そしてその優しさを享受することが出来たということは、辛い出来事があった中でも救われる出来事でした。
人はみな大河の一滴である
著者は、本書の中で「人はみな大河の一滴である」と言っています。
本書のタイトルでもある「大河の一滴」とはどういうことを指すのか、本書を引用すると、
空から降った雨水は樹々の葉に注ぎ、一滴の露は森の湿った地面に落ちて吸い込まれる。そして地下の水脈は地上に出て小さな流れをつくる。やがて渓流は川となり、平野を抜けて大河に合流する。
その流れに身をあずけて海へと注ぐ大河の一滴が私たちの命だ。
やがて太陽の光に熱せられた海水は蒸発して空の雲となり、ふたたび雨水となって地上に注ぐ
ということです。
私たち一人一人はちっぽけな存在であるものの、その一人一人の存在があって社会が、世の中が成り立っている。
私たちは、その社会、世の中という流れの中で生きて行き、やがて命尽きる。
そして再び、一つのちっぽけな、でも確かに社会や世の中を構成する存在となって生まれ、その流れの中で生きていくということですね。
著者は更に、
大河の一滴として自分を空想するようになったとき、私はなにもわざわざ自分で死ぬことはないと自然に感じられるようになってきた
と言っています。
この部分を読んだ時、確かに、と思ってしまいました。
わざわざ自分で死ななくても死ぬ時が必ず来るのだなと。
それならわざわざ今自分で死を選択することもないのかなと。
妙に腑に落ちました。
理玖を失って生きていくのは確かに辛い。
だけど、そんな中でも人の優しさに触れ、光が射す瞬間があった。
きっとこの先も辛さや苦しさは続く。
それでもまた、きっと死産直後のように光が射してくることもあるのだろう。
それに人はいつか必ず死ぬ。
それであれば今わざわざ死ぬことを選ばなくても、光が刺してくる瞬間を大切にしながら、世の中の流れに身を任せて、このまましばらく流れていてもいいかなぁとそんな風に思えたのです。
最後に
私の拙い説明で本書の良さが伝わったかどうか不安が残るところですが、人生に迷った時に読むと何かしらのヒントを得られる本だと思います。
なんとしてでも生きろとか、頑張れとか、前を向く為にはこうしろとか、そういうことが書いてある本ではありません。
本当に心が弱っている時ってそんなこと言われても全然響いてきませんよね。
人生に立ち止まってもうこれ以上進めそうにない、そんな時にそっと寄り添って助けてくれる本だと思います。
リンクを貼っておきますので参考にして下さい。
リンクは単行本ですが、文庫本も出てるので購入される方は文庫本の方が断然安いと思います。
でも私が調べたところによると、それよりも何よりもkindleが一番安いです。
とりあえず、参考です。
それでは、今日も仕事行ってきまーす!